1. ある「達磨大師」の物語

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学長室より

ある「達磨大師」の物語

    

はやいもので、新学期の草木の芽吹く「山笑う」は、美しい緑の「山滴る」へ。そして、まもなく秋学期。新入生のみなさん、初めての夏休みはいかがお過ごしでしたか?見聞を広めましたか、多くの書も読めましたか。

去る25日(木)には、残暑厳しい中、TUC恒例のビブリオバトルが開催。今年は、「全国大学生ビブリオバトル」その群馬県決勝大会でした。県内の大学、短大から予選通過の3人の発表者が登場、優勝された育英短期大学・三川さんは地区大会へ出場します。発表された学生さんから、読書の醍醐味が伝わってきました。関係者のみなさん、お疲れさまでした。この大会の模様は、地元群馬テレビでも放映されました。(写真、本学433教室、25日)

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さて、私はといいますと、好きな「経済小説」を読みました。安生正(あんじょうただし)著『不屈の達磨』(角川春樹事務所、2022年4月刊)です。

タイトルに、ある「達磨大師」の物語、と書きました。この小説の主人公のことです。地元では「縁起だるまの少林山」が有名ですが、主人公の彼は「逆境でも己を失わず、俗悪に堕ちない」気質をもつ「一部上場企業」(プライム企業)の経営幹部で、社内の権謀術数に満ちた権力闘争にケリを付ける活躍に思わず拍手、最後までハラハラドキドキの緊迫感!クライマックスは、社長失踪のなかで開催された定時株主総会。取締役選任議案をめぐる「安定株主」対「ヘッジファンド」の壮絶な応酬劇は、リアリティに富んだ迫真の描写です。

現に会社は経営陣がコーポレートガバナンス・コードに抵触していないか問われたりしますし、また、経産省を巻き込んだ「東芝」と「モノいう株主」(アクティビスト)との確執といった、今日の企業経営をめぐる問題とも重なり合うところがあり関心を引かれます。

しばしば、私は「医食同源」をもじって「医書同源」と使いますが、書を読むのも、書き表すのも、心身の健康を増進させる良薬のような気がします。学生のみなさん、これから「山粧う」秋に向かいます。「書」に親しみましょう!

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